リュウグウノツカイ
アカマンボウ目
ちょーさん(長さん)
リュウグウノツカイはアカマンボウの仲間。アカマンボウは本家マンボウ以上に丸~い。片やリュウグウは目を疑うほどに長~い。この2匹が近縁であるとは驚きだ。一方、マンボウとアカマンボウは赤の他人らしい。一体何を信じて良いのやら
リュウグウノツカイ(竜宮の使い)は海神の使者。大変高貴ないでたちで、トビウオもうかつに近寄れない。普段は深海に住んでいるが、ときおり海面に上昇してくる。何を伝えにやってくるのか、使者の仕事を全うしているようだ。長い体は3mを有に超える。長くなればなるほど、海の神に重用されるのだろう。これを重用進化と呼んでみたい。(多分に空想を含んでいます)
シイラ
スズキ目
シイラシイ
勝手にサカナ図鑑「忘られない顔」ランキング1位。出っ張ったオデコと、遠慮がちに小さくまとまった目と口。実物にして、すでにデフォルメ状態。ハワイでは「マヒマヒ」と呼ばれ、高級魚であるが、食べる前に思い出し笑いに襲われそうだ。
小説「老人と海」に登場するシイラとトビウオ。ともに老人の腹を満たす役まわり。しかしだ、シイラを同志と思うなかれ。現実は残酷だ。大型魚のシイラは、トビウオを難なくパクッとやってしまうらしい。 (多分に空想を含んでいます。なお、トビウオトークの19話に「老人と海」にふれたトピックを載せています。ぜひご一読を。)
コリドラス
ナマズ目
ジュリー
ミニカーは車のミニチュア。コリドラスはナマズのミニチュア。種類も多く200を超える。ミニカーさながらの数多くの収集家がいるらしい。ところがどっこい、こっちは生きている。普段は水底にジーッとしているが、触ろうものなら、急発進、急停車。迂闊には手を出せないヤンチャ者である。
もちろんトビウオ一番の私ではあるが、以前、最も近しい間柄だったのはコリドラス。私が飼っていたのは、コリドラス・ジュリーという種。名前に反して、口元のヒゲがいかにもおじさん。かわいいとは素直に言えない微妙なルックスが、かわいいと言えばかわいい。(多分に空想を含んでいます。)
タイ
スズキ目
日本代表
恵比寿様が抱えているから「めでたい」。優勝力士が持ち上げているから「めでたい」。それだけで十分に「めでたい」のに、紅色の体色がめでたさに拍車をかける。実はエビを餌にしているから紅色らしい。なんと本当に『エビでタイを釣る』ことができる?それは「ありがたい」。
さかな界で日本代表はタイであることに異論はないだろう。「尾頭付き」と言えばタイ。一般の魚は尾頭が付いても「塩焼き」などと呼ばれ、格下に見られる。待てよ!トビウオに限っては「尾頭付き」ならぬ「羽付き」と呼んでみたらどうだろうか。もちろんおめでたい席、特に激励会に振る舞おう。『諸君!大きく羽ばたこうではないか』。(多分に空想を含んでいます。)
サバ
スズキ目
サヴァca va?
「サバ塩」「サバ味噌」。食卓では愛着を持ってこう呼ばれている。焼き魚、煮魚の代表格だ。日本人にとっては、馴染みの深い魚、漁獲量もイワシに次いで第2位。一方、サバは足の早い魚としても知られる。傷む前に缶詰に、という訳でもないだろうが、サバは缶詰になるいことも多い。通称「サバ缶」。これまた缶詰の大定番だ。
サバはスズキ目、トビウオはダツ目、分類上は近縁ではないが、同じ青魚。会えば互いに挨拶をする仲。しかし近年、海水温の上昇で回遊ルートに変化が起きている。会えなくなってしまうのは寂しい。ちなみに彼らの挨拶は「サヴァ(ca va)?」。洒落れてる場合ではないのだが。(多分に空想を含んでいます。「ca va?」はフランス語で元気?)
ホウボウ
カサゴ目
ルーク・シーウォーカー
ホウボウは海底の砂地を歩いている。しかも上手に足を使って。魚に足? 実は昆虫の足を思い浮かべると理解しやすい。ホウボウの足は胸ビレの一部が分離、変化したもの。よく見ると左右3本づつ計6本。えっ、6本の足って、それはまさに、もしかしたら………コ・ン・チ・ュ・ウ。
ホウボウは海底の砂地を歩いている。しかも上手に足を使って。魚に足? 実は昆虫の足を思い浮かべると理解しやすい。ホウボウの足は胸ビレの一部が分離、変化したもの。よく見ると左右3本づつ計6本。えっ、6本の足って、それはまさに、もしかしたら………コ・ン・チ・ュ・ウ。
シオマネキ
カニ目
シオマネキン
誰が付けたか「シオマネキ」短歌の枕詞のような美しい響き。ハサミで潮を招くのは結構だが、片方のハサミがあまりに大きすぎるので、なんともコミカルなルックスになってしまった。カニにも利き腕があるようで、利き腕のハサミが大きくなるらしい。写真で見る限り、断然右利きが多い。カニの世界もサウスポーは少ないようだ。
右利きと左利きの割合は半々でも良さそうなものだが、偏る理由がありそうだ。大きくなるのはオスだけらしい。つまり、右利きの方がメスにモテるから! それにしても度が過ぎる大きさとアンバランス。「俺が俺が」と競争を重ねた結果なのだろう。誰かが言ってあげるべきだったと思う。「大き過ぎてカッコ悪い」。 ところで、トビウオにも利きビレはあるのだろうか。右旋回の得意なトビウオっていそうな気がしてきた。 (多分に空想を含んでいます。カニはサカナではありませんが、この図鑑は水性生物を含んでいます。)
グチ
スズキ目
グチロー
鳴く魚は意外と多い。グチもその仲間。グーグーと愚痴をこぼすように鳴くから、グチという名が付いた。魚の多くは耳の中に耳石を持っているが、グチのそれは小石ほどに大きい。そこからイシモチ(石持)という別名も付いた。グチは釣り人仲間のアイドル。ひとつで十分なはずの名前が2つも付いた。
2つも名前をもらっておきながら、グチ本人は不服そうだ。もっと工夫して!気持ちはわかるが、命名なんてそんなもんだ。トビウオだって、元々は見たままのかなりイージーな名前。グチもイシモチも、愛されキャラならではの、覚えやすい名前じゃないか。グチが愚痴をこぼしている姿が想像できてしまうから不思議だ。 (多分に空想を含んでいます。※耳石は耳の中にあり、体のバランスを取るのに役立っているらしい。)
イワシ
ニシン目
イワシニシヒガシ
ライバル、サバとの競合いに勝ち、22年度漁獲高の堂々第1に輝いたイワシ。当然人気も高いはず、と思いきや、意外に目立たない存在だ。イワシは加工名称で呼ばれることが多い。例えば、煮干し、目刺し、つみれ、これらはすべてイワシなのに、イワシの名前で呼ばれることはない。その稚魚を加工した、ちりめんじゃこに至っては、イワシをイメージするのさえ難しい。しかし、ここが国民的大衆魚の面目躍如、献立の至る所に潜んでいるのだ。
実は、煮干しの正体はイワシであるとは限らない。煮干しとは、魚を煮て干した干物の総称である。イワシには及ばないが、煮干しの正体はトビウオであることも多い。「アゴ出汁」と聞いて納得する方もいるのでは。九州でトビウオはアゴと呼ばれる。トビウオの胸ビレを取ってしまえば、イワシとトビウオはかなり似ている。「出汁」の世界ではライバルであり、盟友でもある。 (多分に空想を含んでいます。このコラム『fish&talk』(その28)に関連トピックが載っています。ぜひご一読を。※煮干しに使われるイワシは小型のカタクチイワシです。)
リーフィー・シードラゴン
トゲウオ目
リーフィー
微風に揺れるモビールがいい。何がいいって、無音なのがいい。リーフィー・シードラゴンは海のモビール。静寂な海の中、わずかな水流に揺らめく。海藻への擬態であることは一見して分かるが、半端ない装飾になっている。進化は時に過剰になりがちだが、リーフィーの場合は、よくぞここまで、と感謝したい。しばらくは優雅な舞に浸ろうかな。……んっ、何やら騒がしい。あらら、水槽の周りは大渋滞。静寂はどこへやら。
葉っぱのような全身の突起は、鱗が変化したもの。魚の擬態は結構多い。トビウオを含む青魚の体色も、敵を欺くもの。背側から腹側への青から銀のグラデーションは、外からの光に擬態している。リーフィーはタツノオトシゴの仲間だから、哺乳類的な顔立ち。面長な顔に大きい目。よく見ると付けまつ毛をしている、ようだ。オシャレには相当気を使っている、ようだ。(多分に空想を含んでいます。)